縦型動画の「間(ま)」の作り方|詰め込みすぎを直す
結論から言うと、縦型動画のテンポは「速さ」ではなく「理解が追いつくか」で決まります。1カット=1情報まで削り、視聴者が意味を受け取る一瞬だけ止まる。これが「間(ま)」の正体です。
「テンポよく作りましょう」というアドバイスは、よく聞くわりに具体的ではありません。その結果、多くの人が速くすること=テンポを良くすることだと誤解します。カットを詰め、話す速度を上げ、テロップを増やす。ところが出来上がった動画は、なぜか最後まで見られない。
この記事では、詰め込みすぎた動画がなぜ見られないのか、どこに間を置けばいいのかを、判断できる形で書きます。
そもそも「間」とは何か
動画における間とは、何も起きていない時間のことではありません。視聴者が受け取った情報を理解するための時間のことです。
- 商品を映した直後の、0.3秒だけ動きが止まる瞬間
- 「実はこれ……」と言ってから答えを言うまでの、わずかな空白
- テロップが出てから次のカットに移るまでの、読み終える時間
どれも「止まっている」ように見えますが、視聴者の頭の中では処理が進んでいます。ここを削ると、画面は動いているのに何も伝わっていない動画になります。
詰め込みすぎの動画に起きていること
情報を詰めた動画は、視聴者の側でこういう状態になります。
| 詰め込んだ結果 | 視聴者に起きること |
|---|---|
| 1カットに2つ以上の情報を入れる | どちらを見ればいいか分からず、両方こぼれる |
| テロップを読み終わる前に切り替える | 文字を追うのに必死で、映像を見ていない |
| 説明を止めずに話し続ける | 音として流れるだけで、意味が残らない |
| 効果音・BGM・テロップが常に全開 | 強調が効かなくなり、全部が平坦に聞こえる |
共通しているのは、視聴者が「今の、何だった?」と一瞬でも思った時点で離脱が始まるという点です。速い動画が見られないのではなく、理解が追いつかない動画が見られないのです。
判断の基準は「1カット=1情報」
間を設計する前に、まず削ります。基準はひとつだけで十分です。
そのカットで視聴者に伝えたいことを、一言で言えるか。
言えないなら、そのカットには情報が2つ以上入っています。分けるか、片方を捨てます。
具体的にはこう分けます。
| 詰め込んだカット | 分けた後 |
|---|---|
| 商品を持ちながら価格と使い方を同時に説明 | ①商品を見せる ②価格を出す ③使い方を見せる |
| テロップで特徴3つを一度に表示 | 1つずつ、順番に出す |
| 「安くて軽くて丈夫」と一息で言う | 一番言いたい1つだけ残す |
削ってから間を置く。この順番が大事です。詰め込んだままの動画に間を足すと、ただ長いだけの動画になります。
間を置く場所は3つだけ覚える
置く場所を決め打ちすると、迷わなくなります。
1. 冒頭のフックを言い切った直後
「これ、買って一番よかったです」と言い切ったあと、わずかに止めます。ここで視聴者は「何の話だろう」と考えます。この一瞬が、続きを見る理由になります。
2. 情報が切り替わる境目
特徴①から特徴②へ移るとき、切り替わったことが分かる区切りが要ります。カットを変える、テロップを一度消す、音を一拍抜く。どれか1つで十分です。
3. 見せ場の直前
ビフォーアフターの「アフター」を出す前、開封の中身を見せる前。ここで止めると、次の画に注目が集まります。逆にここを流すと、一番の見せ場が他のカットと同じ重さになって埋もれます。
この3つ以外の場所で止まると、たいてい「ただの無駄な時間」になります。
間の長さの目安
長さは秒数で覚えるより、視聴者の動作で決めるほうが外しません。
| 場面 | 目安 | 判断のしかた |
|---|---|---|
| テロップを見せる | 読み終わるまで | 自分で声に出して読み、読み終わる時間 |
| フックの後 | ごく短く | 「え?」と思う間だけ。長いと飽きる |
| 見せ場の直前 | 一拍 | 息を吸う程度。止めすぎると間延びする |
| 動画の最後 | 短く切る | 余韻より、次の動画に送るほうが優先 |
特にテロップは、書いた本人は内容を知っているので短く感じます。書いた文字を初めて読む人の速度で測ってください。
「間が足りているか」の確認方法
作り終わったら、この3つで確認します。
- 音を消して見る — 映像とテロップだけで意味が追えるか。追えないなら情報が多すぎます
- 等倍で通しで見る — 途中で「戻したい」と思う場所があれば、そこが詰まっています
- 1日置いて見る — 作った直後は内容を覚えているので判断できません
3つのうち、一番効くのは1日置くことです。作りたての自分は、この動画で一番理解がある視聴者だからです。
削るときに迷ったら
「せっかく撮ったのに」と思うカットほど、削ると良くなります。判断は次の一言です。
この情報がなくても、視聴者は困らないか。
困らないなら削ります。動画1本で全部を伝える必要はありません。削った情報は、次の1本のネタになります。
よくある質問
Q. テンポを速くしたほうが伸びると聞きましたが、間を置くと遅くなりませんか? A. 速さと間は両立します。速くするのは「情報と情報の移り変わり」で、間を置くのは「1つの情報を理解する瞬間」です。削って速く、要所で止まる——この組み合わせが、実際に見やすい動画になります。
Q. 間を置くと動画が長くなってしまいます A. 順番が逆になっています。先に情報を削ってから間を置いてください。詰め込んだまま間を足すと長くなりますが、1カット1情報まで削ってあれば、間を置いても長さはほとんど変わりません。
Q. 自分の動画が詰め込みすぎかどうか分かりません A. 音を消して1回見てください。映像とテロップだけで内容が追えなければ、詰め込みすぎです。もう一つの方法は、家族や友人に一度だけ見せて「何の動画だった?」と聞くことです。一言で返ってこなければ、情報が多すぎます。
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